数学は奥の深い教科です。問題を解くためにはいろいろな能力を必要とします。
例えば、大学入試センター試験は短い時間の中で教科書のドリル+αのことをたくさんこなさなければなりません。このような試験に強くなろうと思えば、計算力や作業する力に優れ、素直にいわれるがままの勉強をしてきた生徒が大変有利です。
問題を見て考えている時間はほとんどありません。自分の頭の中のデータベースに入っている問題から類題を引き出し、組み合わせて、ひたすら速く解くしかないという事です。
センター試験風景
ところが各国立大学ごとに行われる二次試験は、問題数はせいぜい5題なのに時間は2時間30分ぐらいの時間があります。そこには多少の推理能力や発想力、構想力が必要であり一次試験と違う能力を試していることが多いようです。難関といわれる大学ほどこの傾向が強く、もちろん計算力や作業の速さも必要ではあるのですが、それだけではとても問題は解けません。
高校入試の試験は、どうでしょうか。県立高校の入試問題は試験時間が45分です。高得点を目指すなら、センター試験と同じく、考えている時間などありません。
中には推理能力や発想力を試そうとする問題もあったりするのですが、考えている時間がないというのが現実でしょう。
過去問はとにかくやらなければなりません。
式の計算(乗法公式や因数分解など)、平方根、方程式やその利用(利用は読解力がいります。)、関数などはその場で考えるという事ではなく、反射的に手が動くぐらいになっていないといけません。
今までしつこく述べてきたような、「構造化して記憶する」というようなことは全く関係ないといってよいでしょう。
数学の本質から考えるとやや忸怩たるものがありますが、そこに私たちのつけ込む要素もあります。
長年やってきますと、大体これを何度もやればよいといったものが見えてきます。これを時間内に解く練習を繰り返すと、かなりの確率で合格点にまでは達します。
高得点を目指すなら、図形をイメージする力(図を見ると、合同や相似、等しい辺や角などが見える能力) がいるのですがこれは普段から相当訓練していないと難しいでしょう。この分野だけは誰でも気軽に力がつくという訳にはいきません。
何年か前、全く宿題をしてこないとんでもない生徒がいましたが、過去問と頻出テーマの演習を塾で繰り返しやっただけで県立の進学校に合格してしまいました。彼は合格が決まって私に報告しに来た際、「家で何もせんと受かってしまった。」と言っていましたが(真似をしてはいけません。運が良かったというだけかも知れません。)このような事は十分あり得る事なのです。
最後に妙なオチをつけてしまいましたが、数学という科目は本当に厄介な科目ではあります。普段からかなりの集中力と興味を持って勉強しないと毎日やったから成績も比例してアップするというものではありません。
さて数学の話はこれでおしまいです。また考える事があれば、適宜思った事を書いてみたいと思ってはいますが、ひとまず終了です。