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数学 その1

カテゴリ : 数学

 
  数学について

 数学を勉強するとき、真面目な子ほど今から言うやってはならない学習法にはまりやすい。それは何か、というのが今回のテーマです。



例えば、中学受験でおなじみの鶴亀算




  問題 鶴と亀が合わせて10匹いて、足の数は全部で26本です。では、鶴は何匹、亀は何匹いるのでしょうか。

           鶴亀算


    解説①もしも全部鶴だったら、足の数は、2×10で20本。
    ②ところが、足の数は26本なのだから食い違いは6本
    ③全部鶴から鶴と亀を1匹交換するごとに足の数は2本増える。
    ④6本の食い違いをカバーするためには、6÷2=3で3匹を交換すればよい。
    ⑤よって亀は3匹。鶴は残りの7匹。
       


次は差集め算と呼ばれる問題です。

   問題 ある人がコップを運ぶアルバイトをしました。1つ運ぶと15円もらえるのですが、1つ壊すと逆に10円の損料を支払わなければなりません。全部で50個頼まれて、結局彼がもらった額は500円でした。この人は何個のコップを壊したのですか。


解説①もしも1つも壊さなかったら、いくらもらえていたかというと、50×15=750円。

  ②実際にもらった額の500円とは250円の食い違いがある。
  ③全部壊さなかった場合と、1つのコップを壊した場合とを比べると、25円の食い違いがある。
  ④結局1つ壊すごとに25円損していく訳だから、250÷25=10で10個のコップを壊したという事になる。



 この2つの問題が同じに見える子は、覚えることが一つで済むし、一見違って見える二つの問題に実は同じ様な抽象的な構造が存在することを理解していることになります。

         数学に感動する頭をつくる 
           これらの例はこの本からです。

 これが違う問題に見える子は、問題のパターンを二つ暗記しなければならず、これから先、彼(彼女)は膨大な量の問題のパターンを暗記していかなければなりません。


 分かり易いように、簡単な例を出しましたが、このようなことは数学を教えるに当たって、頻繁に起こることです。苦手な子ほど覚えることを山ほど増やそうとしてしまいます。問題を解くとき、これはどれだったのか、と考えて、訳がわからなくなるようです。



同じ様な構造をした問題が同じに見えないため、ものすごい苦労をしている子がたくさんいます。

もし同じにどうしても見えない場合は、そのままにしておきましょう。



 無責任なようですが、無理に覚え込めば、混乱しかえって数学が嫌いになるばかりです。それよりこの二つの問題は同じらしいが、何故だろう。と考える材料を頭の中に暖めておき、同じに見えるまで暇さえあれば考えてみることです。間違っても、妙な結論をつけてはいけません。



 そして一晩寝てしまうのです。何日か後に、頭のほうが勝手に問題を整理して、何となく解るということがよくあります。



 このわからない事を頭の中で暖めておく、寝かしておく、という感覚は非常に大切です。私はこれが高校時代苦痛でたまらず、数学の勉強をやめてしまおうと思い、数学を勉強しなくなりました。



 わからないことを楽しむ。この精神状態が貴重なのです。



 後に私は小学校や中学生の時から教えていた子が高校生になったとき、どうしても数学を教えてほしいと言われ、数Ⅲまで教える羽目になりましたが、(これがいかに無謀なことか、私は文系で大学に進み、数Ⅲはほとんどやっていなかったのですから。)その時も同じ事が起こりました。



 しかし、今度は頭の中にあるわからない事を楽しむ事ができたのです。すると大変なのですが、結構おもしろく、楽しんで数学を教える(というか一緒に考える。)事ができたのです。彼女は国立大学の工学部に現役で合格しました。



 とにかく、問題の類似に常に注意を払うようにしていれば、覚える事は少なくて済みます。それだけではなく、似たような問題や、一つの問題がどのように発展していくかまで、ストーリーとして考えられるようになります。



 もう一つ例を挙げましょう。中1のとき比例を習いますね。中2では一次関数を習うのですが、これを別々に考えてはいませんか。一次関数でy切片が0になるのが比例でしょう。こう考えると比例は一次関数の中に含まれてしまいます。だったら比例の事はもう忘れても良いでしょう。



 数学は勉強すればするほど上記のような事が増え、おもしろいと思えるものなのです。高校でベクトルというものを習うと、あれほど頭を悩ました図形の問題が簡単に解けたり、数値化できたりして感心します。



 我慢して学習していくと、きっと新しい世界が広がってきます。数学が世の中に不要だなどというのはとんでもない話です。少しでもその構造を理解できるよう楽しみながら、勉強してみましょう。

2012-07-17 16:50:47

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