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国語 その4

カテゴリ : 国語

読解力…客観性と論理性

 中3になると社会は公民を学ぶことになっている。その公民で基本的人権について学習するのだが、基本的人権のベースとなるのは個人の尊重と法の下の平等だ。(平等権…憲法第13条、14条)このベースの上に自由権、社会権、参政権などがある。


  人類の歴史の中で、科学技術は信じられないぐらい発達したが、自由権や平等権が世に認められたのは18世紀、社会権に至っては20世紀になって初めて認められた権利だ。平等権や自由権はアメリカ独立戦争やフランス革命をはじめとする多くの人々の犠牲の上に勝ち取られた権利であり、社会権などは第一次世界大戦で200万人もの人々の命が失われた後に初めて認められたものである。
            
            基本的人権
            基本的人権の構造

 さてまた国語の読解とは関係のないような話から始まったようであるが、読解力が何であるかと考えたときに、この基本的人権の構造を考えるとわかりやすいと思ったからである。読解力のベースとなるのは「言葉の共通性」だ。


 
 例えば買い物に行って3000円の食料品を買ったとしよう。このとき3000円という金額が意味するものが売る方、買う方、双方にとって同じだからやりとりが成立する。つまりお互いが「円」をお金の単位として認識しているから買い物ができる。買い物が成立する=貨幣単位の共通認識がある、読解が成立する=双方(筆者と読者)に共通する言葉がある。ということだろう。『地雷危険』という看板があっても、地雷や危険という意味を共通認識していないと看板の意味はない。



 そのベースの上に客観性と論理性があるのが読解力だ。客観というのは主観の反対の意味だ。じゃあ主観って何だ、となると「主観」=「主」+「観」。「主」は主人公の主、自分の人生の主人公は「自分自身」、つまり「主」は自分自身の意味。また「観」は観察とか、観測の意味。つまり「みる」ということ。となると「主観」は自分から見たものの見方、感じ方ということになる。

 
すると「客観」=「客」+「観」。「客」は、お客さんということは「相手」、自分以外の相手、あるいは第三者。となると「客観」は自分以外の人のものの見方や感じ方。自分以外の人がどのように見るか、どう感じるかということになる。



 ある人に特定の考え方やその人自身だけに通用する、あるいは人それぞれで異なる感じ方や判断基準を「主観的」という。その逆で、誰から見ても同じ評価が下される、特定の人の感情に基づいていない様を「客観的」という。客観的な性質、客観的であることが「客観性」だ。



 文章というものは、自分の考えを相手に主張したり、伝えようとするときに書かれる。だから相手は筆者の主張すること、伝えたいことを、客観的に正確に読み取ることができなければならない。文を読んでどう感じるのかは自由であるが、それは「主観」であり、国語の問題にはならない。人がどう思ったかについて点数をつけることはできないでしょう。それに対して「この文章は、誰から見てもこう書いてある」ということについては正解と不正解は明確に出るはず。

 


 またこの「客観性」(誰から見てもこの文章にはこう書いてある。)を主張しようとするためには「論理性」が必要だ。つまり「論理的」であること。「論理的」というのは「筋道が通っている。」「矛盾したところがない。」「つじつまが合っている。」ということで、つまり誰が見ても納得がいく=客観性がある、ということになる。「客観」と「論理」は表裏一体で、論理的であれば客観性も持ち合わせていることになる。



 かなり難しい話となってきたが、『裁判』を考えてもらうとよく分かるのではないだろうか。ある容疑者を犯人と断定するとき、「おまえの顔、俺嫌いだ。だからおまえが犯人だ。」好き嫌いは主観であり、こんな事で犯人を決められたらたまらない。「動機がある」「証拠がある」「アリバイがない」と論理的に事を運んで客観的に犯人を特定するはず。

          裁判所
          裁判所
          
 「言葉の共通性」をベースとして「何が書いてあるか」を論理的にいうことにより、「客観性」を持った読み取りができるのです。「どう感じたか」で読解をしてしまうと収拾のつかないことになります。


 今回は文章に即して具体例を挙げながら説明できなかったのですが、次回頑張って例を挙げてやってみようかなと思っています。またどうすれば、この「読解力」が身に付くのか、その訓練については、いろいろな方法があるようです。次回にいくつか紹介します。

2012-06-20 18:41:49

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